宗教では、人からの評価、異性への関心、物への執着などは悪なるもの、煩悩として取り扱う。
その世界が作り上げる世界は、人や家庭や物と分離された何もない世界である。
それは幸福なのだろうか。
たしかに、不幸の原因となるのは、人からの評価を得ようとするところからの甲藤、異性との関係での歪み、物への執着ゆえの争いなどである。
ゆえにこれらの煩悩を手離すと、問題も手離すことになるだろう。
しかし、それは同時に喜びや刺激を手離すことにもなるのではなかろうか。
人間はこの疑問を超えることができずに歴史は流れてきた。
この世の煩悩が必要とて、手を出すと煩悩に溺れてしまうし、煩悩から離れると幸福からも結局離れるという葛藤である。
真の幸福をなす人はこの煩悩を乗り越えられる人であろう。